いかとサーモンの山椒丼

我が家はヒゲが静岡の焼津育ちなため、東京都内の高級料理店でさえどんなにお金を積んでも買えない極めて高い鮮度の、ヘタすると一度も冷凍さえされてない漁師が隠し持っている本マグロを、キロ単位でなんの有り難みもなく『普通の刺身』として白飯と食べるという地元民ならではの恐ろしい贅沢をしていたので、鮮魚の美味しさだけは知っている。たぶん焼津以外だと、千葉の銚子港育ちの人とかが同じ感じなんじゃないかしら。

一度『美味しいもの』を知ってしまうと、それ以下が美味しくないものに感じてしまうため、食を極めようとすると不幸になるとはよく言ったもの。わたしも自分の味覚については、この不幸に陥るジレンマを実感しています。それでもそこに食材がある限り、どうにかしたい探究心と知識欲が爆裂に燃えているので救われている。

だから一般家庭の鮮魚の扱いって本当に難しい。

買ったからといってその場で食べるわけでもなく、調理までに時間がかかるから、味の基本である鮮度だってどんどん落ちていく。冷蔵庫にいろいろな最先端技術がついていたとしても、それを扱うのは素人なので解凍に失敗したり、半分凍ったまま刺身として食卓に出さざるを得なかったりして、本来の美味しささえ味わうチャンスを逃し、結果『美味しくないものを高いお金を出して食べた』という印象だけが残る。

そりゃあ肉のほうが自由度高いし、肉でいいわとなる。

わたしでさえそう思うわよ。作りたいものや作れるもの、食べたいものを考えたときに、値段と加工時間考えたら肉になるわよ。でもね、買う人がいないとその分野はもっと値段が高くなるし、モノの質も悪くなってしまう。質の高い食材は、外食産業が押さえているからもう遅いのかも知れないと思っていたけれど、コロナで外食需要が減少したことで、そこそこの質のお魚が小売にも流れてきている気がするのよね。

毎回買えとは言わないから、お魚を食べることは諦めないで欲しいなと思います。ウチの近所のスーパーなんて、ジジババが安い刺身パックしか買わないからか、安い刺身パックになる魚しか置かなくなってしまった。結果、鯛などの元から価格が高い魚は取り扱いさえしなくなってしまったの。

海が近くて海鮮に恵まれた土地にお住まいの方は、本当にそのラッキーさが羨ましいわ。なんだかほとんどわたしの愚痴になっている気がするけれど(笑)

それでも近所のスーパーで買ったお刺身で、美味しい海鮮丼を作る方法だってあるんだということよ！めっちゃ強引だけど、つまりはそう。

何度も言うけど、こういったお刺身などを利用するときの醤油は、ヒゲタの本膳生をおすすめするわ。

今回のレシピは、たれにごま油を使っているのでわさびの辛味がマイルドになりがち。そんな場合でもしっかりわさびの風味を活かしたいなら、必ず『本わさび』と表記されているものを使ってね。

これは刺身に関してだけ無駄に舌の肥えたヒゲのおすすめするわさび。それまでテキトーにS&Bの特選生わさびとか使ってたんですが、わさびにも鮮度や香りがあるんだなと私が知ることにもなりました。そのぐらい味が違います。

この2つを揃えるだけで、海鮮丼さえ作るのがもー無理ィなときでも、お刺身は美味しく食べられると思いますわ。いいお肉のステーキを焼いた時にもこの醤油とわさびを使って食べてみて欲しいわ。素材の味を邪魔しない、シンプルな味付けができるので重宝すると思うの。まだお持ちでなければ、ぜひトライしてみてね。

ロリ子さんちと同じものはAmazonで買えます。